徳島県農業会議/農業雇用改善事業「農の労務管理ガイド」
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農の労務管理ポイント

外国人技能実習制度と労務管理

●外国人技能実習生の労務管理

1.外国人技能実習生労務管理の基本

「農業・畜水産業」は、その作業が天候等の自然条件に左右され、1日8時間、週40時間労働制や週休制に馴染まないものであるので、労働時間、休憩、休日に関する労働基準法の規定は適用されない。ただし、外国人技能実習生については「労働基準法に準拠する」こととされており、適用除外とはなっていない。(平成12年3月農林水産省通達)

2.労働時間について

(1)日本人従業員には労働基準法の法定労働時間「1日8時間、週40時間」が適用されない。

昔 :夜明けから日没まで
今 :週40時間、44時間、46時間、48時間等、様々である。

(2)外国人技能実習生には、「1日8時間、週40時間」が適用される。ただし、36協定(時間外労働・休日労働に関する協定)を締結し、所轄の労働基準監督署長に届出ることを要件として、時間外労働として、1日又は1週の法定労働時間を超えて労働させることができる。
時間外労働の限度は以下のとおり。

期間 一般 1年単位の変形
1週間 15時間 14時間
1ヶ月 45時間 42時間
3ヶ月 120時間 110時間
1年間 360時間 320時間

時間外労働については、次の割増賃金を支払う必要がある。   
時間外労働 → 通常の労働時間の賃金の計算額の25%以上   
深夜労働(午後10時〜午前5時) → さらに通常賃金の25%以上を加算

(3)1日の労働時間帯を、「8時〜18時、昼の休憩60分」とした場合、実労働時間は9時間となる。   
日本人従業員に対する時間外割増賃金の支払い義務はない。   
外国人技能実習生は1時間の時間外労働となり、25%割増賃金の支払が必要である。

3.休日について

日本人従業員に休日の定めはないが、外国人技能実習生は1日8時間の労働時間とした場合、週40時間が法定労働時間であるため、週休2日となる。  
毎週少なくとも1回の休日を付与することが原則だが、雇用契約又は就業規則その他これに準ずるものによる定めをした場合は、4週間で4回以上の休日を付与することができる。また、36協定により休日労働として、1週1日又は4週4日の法定休日に労働させることができる。この場合の割増賃金は、通常の労働日の賃金の計算額の35%以上である。

4.休憩について

日本人従業員に休憩の定めはないが、外国人技能実習生は法定通り付与する必要がある。

(1)労働時間が6時間を超える場合は、少なくとも45分

(2)労働時間が8時間を超える場合は、少なくとも1時間

<例>   
始業:8時 休憩:午前15分、昼食1時間、午後15分 終業:17時30分   
この場合、1日の実労働時間は8時間となる。

5.年次有給休暇について

(1)日本人従業員・外国人技能実習生ともに、雇い入れの日から起算して6ヶ月以上継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤するという要件を満たした場合、上記3.の休日の他に、以下の日数が有給で付与される。

勤務年数 0.5年 1.5年 2.5年 3.5年 4.5年 5.5年 6.5年
付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

 

(2)未消化の年次有給休暇は、翌年度の最終日まで繰り越しができる。

(3)使協定を締結し就業規則に記載すれば、最大5日までは、時間単位で年次有給休暇を付与できるようになった。(平成22年4月1日改正)

(4)年次有給休暇に対して支払われる賃金は、@平均賃金、A所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金、B標準報酬日額のいずれかである。又、時間単位年休1時間分の賃金額は、上記@〜Bを時間単位年休取得日の所定労働時間数で除した額である。

(5)年次有給休暇の利用方法は労働者の自由であり、使用者に告げる必要もないし、告げた場合でも異なる目的に使うことができる。 
ただし、外国人技能実習生の場合は、年次有給休暇を使っての内職やアルバイト活動等の資格外活動は認められない。

6.ケーススタディー

(1)残業

Q:残業命令がないのに、勝手に残業をして残業代を請求した場合、支払う必要はあるか?
A:指示されていない労務提供は、労働時間として算定する必要はない。   
ただし、残業のあることを認識しながら容認している場合は、「黙示の残業命令あり」とされることになる。
<実務上のポイント>  
@残業の必要性の有無が問題となる。  
A通常残業をしていれば、許可していないから支払えないとは言えない。
<対策>  
@原則として、事前に「時間外労働の申請」を直属の上司に申し出て、許可を得たうえで残業し、申請のあった時間を時間外労働として容認する方法が最良である。  
A事前に許可を得られない急を要する労務提供は、事後に申請書の提出を義務付けるようにしておくことも必要である。

(2)準備・片付け

Q:着替えや始業の準備、終業の片付けは、時間外割増賃金の支払が必要か?
A:裁判所の判例や厚生労働省の通達は、準備作業であっても、使用者の指揮監督下で行っている場合は、時間外労働になる。
<実務上のポイント>  
@制服の着用が業務命令にある場合は、着替えの時間は時間外労働となる。  
A始業の準備や終業の後片付けも当然に業務命令による時間外労働であり、たとえ命令がなくても「黙示の残業命令あり」となる。
<対策>
@準備のための「付帯作業」を、法定の労働時間内に繰り入れる。  
A着替えや準備の時間は、実際に掛かった時間ではなく、通常必要とされる時間に限定される。  
B必要とされる時間を算定し、「定額(固定)残業代」として給与の一部に算入するか、別手当として定額を支払う方法もある。この場合は、何時間分の残業代として労働契約に明記する必要がある。

●技能実習時間の運用について

労働基準法では、一部の項目(労働時間、休日、休憩)で農業は適用除外とされていますが、外国人技能実習生を雇用する場合、労働基準法に準拠して運営することが求められています。ただし、農業の技能等修得活動を効果的に行うためには、職種・作業別の実態に即した技能実習時間の設定が必要と考えます。  
以下の内容は、制度改正前「実務研修時間の運用」として認められていましたので、引き続き活用されることをお勧めします。

1.酪農実習の場合

(1)考え方

@酪農は一般的に、早朝・夕方2回の搾乳、その間牛舎の清掃、堆肥の製造、飼料の配合と給餌等の作業が行われています。このため、1日の技能実習を実態に即して計画して下さい。  
Aただし、昼間の休憩時間等技能実習計画以外に、実習生を他の農作業(例えば、花井や野菜栽培等)に従事させることはできません。

(2)実習実施機関概要書(その2)への記載

@実習実施機関での労働条件欄に、休憩時間を除いた時間を明記します。    
(例)労働時間  6:00〜10:00
       15:00〜19:00 週40時間  
Aただし、実習実施機関概要書(その2)の6.「その他特記事項」欄に(注)として以下のとおり記載して下さい。   
「天候又は作業の都合により、実習日又は実習時間を変更することがある。」

2.酪農以外の農業実習の場合

(1)実習時間

基本的な時間帯の中で、実習を実施します。    
(例)労働時間   8:00〜17:00

(2)実習実施機関概要書(その2)への記載

ただし、実習実施機関概要書(その2)の8.「その他特記事項」欄に、(注)として以下のとおり記載することが望ましい。  
「天候又は作業の都合により、実習日又は実習時間を変更することがある。この場合にあっても、1ヶ月以内の一定期間を平均し、1週間当たりの実習時間は原則として40時間とする。」

3. 農業の実態に即した労働時間の管理について

(1)農業は天候に左右されることが多く、農繁期や農閑期もあります。農繁期は天候の合間を縫って、寝る間も惜しんで技能修得に励んで欲しい時もあるでしょうが、労働基準法は以下のとおり定められています。

@休憩時間を除き、1日8時間以内、週40時間の労働とすること。  
A週1日は法定休日として、休日を付与すること。   
ただし、技能実習生は労働関係法令が適用されますので、36協定を締結し、労働基準監督署に届出し、所定の割増賃金を支払えば、時間外労働・休日労働が出来ます。

(2)農業の実態を考慮すると、「1年単位の変形労働時間制」の導入が有効な場合があります。導入するには、以下の条件があります。

@労働時間は1日10時間、1週52時間が限度  
A労働日数の限度は280日  
B1年間の総労働時間の限度は2,085時間  
C労使協定の締結と労働基準監督署への届出が必要

●賃金と保険料等負担の試算例

1.賃金:前提 月30日 休日8日 労働日22日 労働時間1日8時間 週40時間

最低賃金1時間当たり 730円(全国平均)×8時間×22日=128,480円    
最低賃金1時間当たり 642円(全国最安)×8時間×22日=112,992円    
以下、月給120,000円で算出する。

2.保険料等の算出 月給120,000円の場合(標準報酬月額118,000円)

  事業主負担 技能実習生負担 合計
労災保険 1,440円 負担なし 1,440円
雇用保険 1,140円 720円 1,860円
健康保険 5,540円 5,540円 11,080円
厚生年金 9,474円 9,474円 18,948円
児童手当拠出金 153円 負担なし 153円
合計 17,747円 15,734円 33,481円

(注)介護保険料(40歳以上対象)は負担無しとする。児童手当拠出金(率)1.3/1,000

3.事業主(農業法人)の負担額試算  (月給120,000円)

  (1)支払給与 120,000円
  (2)労働・社会保険 17,747円
  (3)負担額合計 137,747円
  (4)宿舎費徴収額(例) 20,000円
  (5)差引負担額 117,747円


4.技能実習生の収支試算

  (1)給与 120,000円
  (2)労働・社会保険料 ▲ 15,734円
  (3)差引所得 104,266円
  (4)宿舎費支払額(例) ▲ 20,000円
  (5)差引手取額 84,266円

※更に、所得税、住民税(2年目以降)が徴収される。

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